父のダンス チャールストン

父が踊った最初で最後のチャールストン・・・・・

 あれは六年前の一月頃だったろうか。
もうほとんど回復の見込みが無く、何ヶ月も食べることができなくて(空腹中枢がおかしくなって)、点滴だけで命をつないでいた。

 そんな時、東京の妹が父の見舞いにやって来た。
ベッドで静かに横たわる父に「父さん、仰向けで足を伸ばしっぱなしだと、床ずれができるよ。膝が立たないかな」

 布団の下がもぞもぞして、やがて膝が立った。
「ああ、立つんだ。すごいね。体力があるんだ。」と驚いたように妹が小さな声で言う。
「うん」と私。

 すると、膝がかたかた上下に動くではないか。
「父さん、どうした?」二人が同時に言う。
父「チャールストン」低いしゃがれた声で、でもはっきりと言う。
妹と私。思わず顔を見つめて、爆笑。
父は相変わらず表情を変えずに、かたかた。
やがて、うっすらとほほえみを浮かべて目を閉じた。
最初で最後のチャールストン。

 戦後、社交ダンスが流行したことがあったそうな。
その頃でも覚えたのだろうか。

 悔やまれることが一杯。

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この記事へのコメント

2009年12月23日 14:45
懐かしい思いです。

以前母の入院のときおじちゃんと話す機会があって
私が社交ダンス始めたことを話した。
私の父母はそういうタイプでなく・・なんでかな?
といったら・・

昔公民館でおじちゃんがみんな集って社交ダンスやってた~と話してくれました。
「僕に似てるんやな~」とも
そのおじちゃんは26歳まで一緒に暮らしていたようです。
2009年12月23日 21:20
みりんさん
素敵な思い出ですね。
結構しゃれた時代があったのですね。
2009年12月24日 11:47
>悔やまれることが一杯。
本当ですね。。。
2009年12月24日 17:15
もうヘトヘトさん
ああすればよかった
こうすればよかった

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