思い出のダンス・チャールストン

父が踊った最初で最後のチャールストン・・・・・

 間もなく父の三回忌がやってくる。

 あれは二年前の一月頃だったろうか。
もうほとんど回復の見込みが無く、何ヶ月も食べることができなくて(空腹中枢がおかしくなって)、点滴だけで命をつないでいた。

 そんな時、東京の妹が父の見舞いにやって来た。
ベッドで静かに横たわる父に「父さん、仰向けで足を伸ばしっぱなしだと、床ずれができるよ。膝が立たないかな」

 布団の下がもぞもぞして、やがて膝が立った。
「ああ、立つんだ。すごいね。体力があるんだ。」と驚いたように妹が小さな声で言う。
「うん」と私。

 すると、膝がかたかた上下に動くではないか。
「父さん、どうした?」二人が同時に言う。
父「チャールストン」低いしゃがれた声で、でもはっきりと言う。
妹と私。思わず顔を見つめて、爆笑。
父は相変わらず表情を変えずに、かたかた。
やがて、うっすらとほほえみを浮かべて目を閉じた。
最初で最後のチャールストン。

 戦後、社交ダンスが流行したことがあったそうな。
その頃でも覚えたのだろうか。

 悔やまれることが一杯。



この記事もこの頃になると再掲したくなる

<< 初出 : 2005/03/02 21:33 >>


参考

http://blog.honyomi.jp/201106/article_13.html

この記事へのコメント

2012年01月11日 21:00
こんばんは。
そうでしたか。私もダンス専用の靴を買わされて習っていました。銀座のホールに時々出没・・・そんな時代もあったなぁ~。いい親父さんでしたね。
私も踊って いくかも知れない・・・。そんな時は笑われてもいい。^^。
まったくっ!
有り難う。
2012年01月12日 12:00
baisaさん
是非再挑戦を!
おしゃれですよ。

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