あの頃は
小学校低学年の頃、豪雪地帯の湯沢市に住んでいた。
例年この頃になると、学校のスキー遊びがあって、村の鎮守の神様の八幡神社に行った。
ここの階段は急傾斜で十段くらい上がると踊り場がある。結局何百段か何十段あったかわからない。
ある年のこと、明日はスキー遊びがあるという日の帰り際に、先生が「背中に手拭いを入れて来いよ」と言われた。
だからその日は全員手拭いを背負ってきた。
さて、スキー遊び。
たいていの子どもは普段から八幡様で遊んでいるから実にすいすいと滑降する。
私はと言うと運動音痴。
階段の最初の踊り場から降りるのがやっとだった。
しかし、降りるのはいいが止まり方を知らない。後数メートルで雑木林に突っ込むという時、ごろりと転んで倒れた。
心臓は高鳴り頬は紅潮した。みんなに笑われるのではないかと辺りを見渡したが、誰一人注目している子はいなかった。
さて、それから暫くすると、全員集められた。
「手拭い引張れぇ!」と先生。
全員が背中の手拭いを引っこ抜いた。
あちこちで「うわっ 気持ちいい」と大歓声が上がった。
私もやってみたが何が気持ちいいのかわからなかった。
ずっと後になって、汗を吸って気持ち悪かった手拭いにかわって乾いたシャツがあらわれて、気持ちが良かったのだと気が付いた。
私はと言うと、たいした運動をしていないから汗をかかない。手拭いは関係なかったというわけだ。
こんな子どもの頃の思い出が、この頃やたらと思い出される。
この記事へのコメント
この頃子どもの頃の思い出がやたらと思い浮かぶのです。