雪明かり
バリバリと氷を砕く音で目が覚めた。
新聞配達の車だなと思った。
道路は日中雪が融けて、昨夜から、残った雪と融け出た水が再び凍り、起伏の激しい路面になっている。
今は新聞配達も車だ。少年たちが自転車で配達したことなどもう昔語りだ。
そう言えば郵便配達もバイクになった。
正月名物の高校生アルバイトたちが颯爽と自転車にまたがり、年賀状の配達出発式を行ったのも今は遠い昔。
雪の時は、路面すれすれに両足を垂らしバイクが転倒しそうな時に備えながら器用に運転している。
何年か前に関東で大雪が降った時、郵便局員がバイクの脇に立ち不安そうに眺めていたことを思い出す。
雪国から雪上運転の方法を教えに行ったらいいのにと思ったものだ。
夜、寝室で寝ていて点灯もしていないのに、部屋の中がぼんやりと明るいことに気づく。
ああ雪明かりだなと。
この頃たまにある雪の降らない年は、暗い。
雪明かりという言葉が自然現象と一致してそれと認識したのは、それほど昔のことではない。
畑の中の細い道を歩いていて、周りがよく見える。しかもかなり遠くまで明るい。
その時になってやっと気が付いた。ああこれが雪明かりかと。
雪国に暮らして数十年、毎年毎年その場面に遭遇してきたのに、何とも思わなかった。
私は頭が悪いのか鈍感なのか、たぶん両方だと思うが、こんな経験がしょっちゅうある。
歳をとったものよのう!
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